2006年09月25日

蛇と村人と狩人と子ども

 ある森に人を食う大きな蛇がすんでいた。

 森の外れには人の村があり、

 村人達は森で薪や食料を採っていたため、

 森に出かけるたびに蛇を恐れていた。

 蛇は村人達がその森に入るようになる前から

 その森に住んでいて、

 村人達が入ってくる前は人以外のモノを食っていた。

 村人達が森の木の実や動物を採ったために

 蛇の食べ物が減り、

 仕方なく森に来た村人を食べるようになったのだ。

 村人達はほとほと困り果て、

 遠くの村から狩人を呼んだ。

 狩人は罠をしかけ、蛇を捕らえた。

 蛇に「何故人を喰らうのか」と問い詰め、

 事情を聞いた狩人は、それでも村人のために

 蛇を殺そうとした。

 だが蛇は、「もう二度と人は喰わないから」と命乞いし、

 狩人はそれを聞き入れ、村人を説得した。

 蛇は村人の監視のもと、村に繋がれて飼われるようになった。

 最初は怖がって誰も蛇には近づかなかったが

 ある好奇心旺盛な子どもが話しかけてから

 長く生き、色んなことを知っている蛇は

 子ども達の人気者になった。

 だがある日、子どもが一人、消えた。

 村人達は蛇が喰ったに違いないと騒ぎ立て、

 蛇の捕らえられている小屋に火を放った。

 数名の子ども達が蛇を助けようと

 小屋に飛び込み、焼け死んだ。

 だが蛇は焼け死ななかった。

 蛇は怒り狂い、自らを繋ぎ止めていた鎖を引きちぎり、

 森へ帰った。

 村人達はいつ蛇がまた襲ってくるかと怯え、

 再び狩人を呼んだ。

 森に入った狩人に蛇は問うた、

 「私はオマエとの約束を破ってはいない、

  人を喰ってもいなければ人を傷つけてもいない、

  ただ食べるものの無くなったこの森で、

  悲しみにくれ、飢えて死ぬだけだ、

  そんな私にオマエが何の用だ?」

 「人はオマエが怖いのだ。
 
  オマエがこの森にいるだけでいつ喰われるかと気が気じゃない、

  安心したいから異形のオマエを何とかしたい、

  オレも人だからその気持ちがわかる、

  だからオレはオマエを殺すのだ」

 嘆き悲しむ蛇の心臓に鏃が突き立ち、蛇は死んだ。

 狩人は遠くの村へ帰り、

 最初に消えた子どもは、

 森外れの崖の下で転落して死んでいるのが見つかった。
posted by ・・・ at 22:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 駄文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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