プレイヤーが国を興し、
他プレイヤーがその国に参加し、
国は他国と戦争し、
他国が潰れればそのスペースに新たな国を誰かが興す。
絶えることのない戦争をただひたすら続けるそのゲームだったが
長く続くことで暗黙の停滞が訪れた。
生まれたばかりの国を攻めるのは卑怯だ。
自国が潰れた瞬間、人より先に
同じ名前、同じ理念の国を興してしまえばいい。
どう考えても勝てない大国と戦争をして
自国を潰されたくない。
大国と渡り合うのに他国と協力するのは卑怯だ。
事前布告無しの戦争は卑怯だ。
戦争の間だけ友人を自国に呼び込む行為は卑怯だ。
自分が楽しく快適にプレイするために、
様々な俺ルールが飛び出し、
自分が嫌な思いをしたくない多くのプレイヤーが
それを受け入れ、広め、運用した。
国は、長く続けば続くほど資金がたまり、強くなる。
結果、最強の国が誕生した。
「財閥」は、このゲームの最初期から生きながらえてきた結果、
多くの国家に関係者を持ち、最強の要塞HPを誇っていた。
このゲームにおいて国の強さを決定づけるのは
「要塞HP」と「人脈」である。
国を滅ぼす方法は、戦争中に在籍している
プレイヤーを全滅させることで出現する
相手国の要塞のHPを0にすること。
自国の要塞のHPがいくらあるか、
戦争前にどれだけの知り合いが集まるか。
つまりはそうゆうこと。
財閥はこの双方においてまさに最強だった。
財閥に戦争をしかけるものもなく、
それどころか徐々に戦争をする国事態減り始めた。
だが、「黒猫」を名乗る一人の男が
仲間を集め国を興したさいに不用意な一言を放った。
「戦争ゲームなんだから国潰れるの恐れて
戦争しないなんておもしろくないです、
何処だろうとかかって来てください、
全ての猫は財閥上等です」
それまで君主が忙しく、
所属プレイヤーもなぁなぁになっていて
ほとんど戦争をしていなかった財閥に、
一瞬で他国から関係者が集まり
黒猫の国は跡形も無く潰された。
それは、それで、いい。
最強にケンカを売るとはそうゆうことだ。
挑発したのも受けたのも黒猫だ。
だがその後、
またこのゲームは戦争の少ない静かな戦争ゲームにもどった。
だから黒猫は決めた。
財閥を潰そうと。
このゲームを戦争ゲームに戻そうと。
永らえること、安穏と存在し続けることに囚われている連中に、
このゲームの楽しさ、戦争を思い出させようと。
だが、すでに現プレイヤーは財閥の関係者か、
恐れて逆らうまいとするもので溢れている。
ゲーム内で協力者を募れば
一瞬で財閥関係者に伝わり、潰される。
ゲーム外から勧誘してくるしかない。
インターネットを徘徊し、
信頼できそうなものを探し回った。
そして、ゲーム内で信用できる協力者が
20人を超えた頃、黒猫は国を興した。
とは言え、財閥を潰すことを目的としているこの国を、
一瞬で崩壊させるわけにはいかない。
もう一つの目的を前面に押し出す。
「せっかくの戦争ゲームなのに最近戦争少ないと思いません?
つーわけでウチの国は週1で戦争します。
手始めはA帝国さん、今週土曜の19時に攻め込みます。
我々はこの停滞しきったゲームに
鉄火飛び散る戦争の夜を呼び込むものである」
「夜の国」の始まりである。
外部から呼び込んだ新人20人は
まだまだ戦力として心もとない。
敵主力を撃破し、要塞を破壊できるのは
黒猫と他数名のみである。
敵国には誕生以来生き延びてきたことで育てた
要塞と、中堅プレイヤーがいる。
不利である。
だからこそ意味がある。
ここで、この人数で、この戦力で、
黒猫が暖めていた戦略の効果を実験することが
将来財閥を滅ぼすための試金石になる。
まず、夜の国のプレイヤーは、
土曜日までに敵国のプレイヤー全員に
戦闘をしかけ、誰が誰を倒せるかのデータをまとめた。
そして国民全員にIRCを導入させ、
黒猫の指揮のもとにスムーズな連携を取れるようにした。
そして運命の土曜日、開戦。
開始5分で敵国は跡形もなく消滅した。
伝説の幕が上がった。
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